企業型確定拠出年金(企業型DC)という制度があります。
お勤めの企業で加入している人も多いのではないでしょうか。
企業型DCに加入している人が、退職時にきちんと手続きをしないと、
資産が塩漬け状態となる、自動移換者になってしまいます。
手続きをしていたつもりでも、資産が目減りしてしまう場合もあり。
どのような点に注意したらいいのか紹介します。
引き継ぎと移す
企業型DCは掛け金を企業が拠出し、従業員が運用するという特徴がある制度。
投資型の年金制度です。
年金である以上、原則として受給年齢になるまで資産を引き出すことはできません。
転職先に同じ制度があれば引き継ぐことも可能です。
転職先に同じ制度がない場合、手数料を払って、個人型に移す手続きが必要になります。
個人型とは、iDeCoのこと。
パターンは3つに分かれます。
- 積み立てを続ける
- 新規の積み立てはせず、これまで積み立てた分の運用だけ続ける(運用指図者)
- 手続きをしない(自動移換者)
一番デメリットが大きいのが、自動移換者。
退職から6ヶ月以内に、個人型に移す手続きをしていないケースです。
個人型に移す手続きをしない場合、資金は国民年金基金連合会へと、自動移換されます。
運用はされず利息もつかないため、手数料だけが延々取られ続ける。
塩漬け、になってしまうんです。
加入期間にもカウントされなり受給開始が遅れるおそれもあり。
国も問題視
自動移換者、についてはかねてから問題視されていました。
2018年からは法改正などに伴い事業主に説明義務が課されました。
連合会による年1度の通知なども政令に明記されました。
自動移換者について、企業型DCやiDeCoに加入をしていることが確認できれば、手続きなしに資産と記録が移換するようにもなりました。
運用指図者でマイナス
運用指図者も、場合によっては損をしてしまうことがあります。
口座の運用には、自動移換者と同様、手数料がかかります。
金融機関によって異なりますが、毎月数百円かかることもあります。
企業型DCは勤め先が負担することが多いため、気が付きづらいポイントです。
積み立ててきた、金額や運用の方法次第では、手数料が運用益よりも高くなってしまうことも。
iDeCoの口座を開設していたことを忘れて、数年にわたって放置してきた結果、マイナスに。
すべての人がこのような状況に陥っているわけではありません。
自分が、運用指図者、自動移換者になってしまっている場合、手続きすれば、iDeCoで積み立てを再開することもできます。
まとめ
今回は、転職したら会社の確定拠出年金がマイナスについて紹介しました。
- 引き継ぎと移す
- 国も問題視
- 運用指図者でマイナス
確定拠出年金制度は来年2022年4月に改正され、これまで60歳未満だった、iDeCoの加入年齢が65歳未満まで引き上げられます。
企業型DCの加入者も、掛け金が上限に達していなければ、iDeCoを併用できるようになります。
キャリアが複雑化している時代。
会社が運用する年金の存在は、見落としてしまいがちです。
この機会に、見直してみてはいかがでしょうか。